何だかすごい現場に立ち会った気がする。   

シアヌークビル(旧コンポン・ソム)州 の旅行で
ちょっとイイ場面に出くわしたので、
何はともあれ ブログに書いておきたいと思った まな虫です。

9月19日 晴れ。
カンボジアの海はどんなモンかと 同期のJOCVと先輩JOCVと一緒にダイビングに行きました。
(ダイビングの話は、また別個に書きます。)

シアヌークの港から船で2時間チョットのところにある島に行き、
そこからまたダイビングのポイントへ行ったので、
帰りも当然その島から帰ってくるわけです。

行き帰りは小さな漁船のような船。
着替えをしていてオイラは最後に乗り込んだんですが、
なぜか帰りのほうが座るスペースが狭い…。

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良く見ると、船頭のほうにマットレスを敷いて陣取っているクメール人が。
成人女性2人、成人男性1人、子どもが4人。

外人女性が、先輩JOCVに
『通訳できる?』と話しかけ、先輩が通訳をしたところによると、

(*ココからのお話は、英語⇔クメール語⇔日本語の翻訳なので、事実とは異なる部分もあると思います。)

どうやらクメール人女性が1人妊婦さんだった様子。
男性は旦那さん。もう一人の成人女性は、シアヌークビルに身寄りの無い、
この夫婦の付き添いで一緒に来たおばちゃんらしい。
子どもは1人が夫婦の子どもで、他3人がおばちゃんの子ども。

妊婦さんはすでに陣痛の痛みで泣いており、その様子を見て
外人女性が心配して話しかけたいとのことでした。
どうやら外人女性は病院関係に勤める人らしい。

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(一番左の女性が妊婦さん。その隣が付き添いのおばちゃん。真ん中が先輩JOCVで右二人が医療関係の外人女性。)

で、話を聞くと、船に乗った時点で陣痛がひどく、10分間隔で陣痛が来ていたらしい。

この島からシアヌークまで船で2時間以上かかる。
しかも朝はべた凪だった海も波が高くなってきた。もうチョット時間がかかりそうだ。

船に乗っている誰もが、
『もしかして船上でお産?!』
と思ってざわざわした。

一人の外人女性が
『何でもっと早く病院に行かなかったの?』
と聞いたら、

付き添いのおばちゃんが
『病院にいくにはお金がかかる。
それに入院中のご飯は自分たちで買って食べなくてはいけない。そんなお金はないんだ。』
と言った。

ダイビングショップのインストラクターのルーディー(写真左)は、
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クメール語もできたので(ちなみに日本語もスペイン語もできるらしい。)
その話を聞いて、一言、
『いくらぐらいかかるの?』と聞いた。

付き添いのおばちゃんが
『150$はかかるわ。この夫婦はお金が無いから病院に行けなくて、
島中の人からお金を借りようといろいろまわったけど、40000リエル(10$)しか集められなかった。
でも、島にいるより町へ行ったほうが人がいるから助けてもらえると思ってこうやって船に乗っているの。』
と言った。

すると、ルーディーは紙とペンを用意して、そこに
『これから生まれてくる赤ちゃんのためにどうか寄付を。』
と書いた。
私たちにその紙がまわってきたときには、すでに何人もの署名と寄付の金額が書かれていた。
そしてこの紙を見た私たちにルーディーは
『もちろん、気持ちだけでもいいんだよ。別に無理にしなくていいからね。』
と言った。

”何で貯金しなかったの?” とか ”旦那は何してたの?” とか ”そんなにカンボジアって厳しいところなの?” とかいろんなことが頭をよぎったけど、
今ココで生まれて効用としている命に対して、何かしてあげたいと思うみんなの気持ちと、
何のためらいも無くこんな粋なことができる彼らにチョット心打たれて、寄付をした。

最終的に船に乗っている人たちから集まったお金は160$ぐらい。

ルーディーが
『これで足りる?』
と聞くと、

付き添いのおばちゃんと妊婦さんは手を合わせ、頭を下げ、何度もお礼を言った。

妊婦さんは陣痛の痛みもあっただろうけど、
本当に感謝した顔で涙を流しながら何度も何度もお礼を言った。

ちょっと感動的な場面だった。
この船にはいろんな国の人が乗っていて、言葉も文化も違うのに、
一人の妊婦さんを助けようとみんな必死だった。

その後も、船上で暇をもてあまし駄々をこねる子どもたちが、
妊婦さんの迷惑にならないようにと一緒に遊んであげている人がいたり、
妊婦さんを気遣い、水をあげたりタオルを貸してあげたり。
暗くなってきたらライトを出して明るくしてあげたり。

何だか人の力ってすごいなと思った。

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何もさえぎるものの無い海の上でも、さすがに暗くなってきた。

19時近くなった。遠くに町の明かりが見えてきた。


突然、船のエンジン音が消えた。
本当に絵に描いたようなハプニング。

何人かの男性がエンジンのほうへ行って様子を見る。
どうやらエンジントラブル発生。
(ちなみに先輩JOCVは2年間このショップでダイブマスターまで取ったぐらい、
たくさんお世話になったらしいが、船が止まったのは2回目らしい。)

修理が終わって船が動き始めたのは約15分後。
その間にも妊婦さんの陣痛間隔はどんどん短くなっていった。
陣痛の間隔が1分になった。

医療関係の外人女性はお産の覚悟をして準備を始めたが、
なんとかお産をせずに港へ到着。

到着してからも船から桟橋までかなりの段差がありなかなか降りられずにいて、
さらには私たちが立ち去るまで、ず~っと手を合わせお礼を言っていた。


たった2時間強の間にすごくいろんなことが起こったような気がした。
カンボジアの現実を見せ付けられたし、
欧米人の粋な計らいにも心を動かされた。

それから、ダイビングという死と隣り合わせの世界に行ってきた自分、
ダイビングで見た海の中の命、
これから生まれてこようという命
…今日は命に関してもいろいろ考えた気がする。

『感動』という言葉一言で表すには、
なんとなくしっくりこない感じがするけど、

今日一日の出来事は忘れちゃいけないなと思いました。

by manamushi69 | 2009-09-21 21:43 | 任国内旅行。

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